「ふたりのおかあさんからあなたへのおくりもの」 泉清隆

「ふたりのおかあさんからあなたへのおくりもの」とい

う詩を紹介します。この詩は2008年に榮倉奈々主演で、

先日、召された西田敏行さんが出演していたNHKの朝

の連続ドラマで、東京の下町で暮らす里親と里子の家

庭を措いた「瞳(ひとみ)」のワンシーンで紹介された詩

です。「ふたりのおかあさんからあなたへのおくりもの」と

いう絵本に掲載されているもので、作者不詳の英語の詩

「 Legacy of an Adopted Child 」を牧師が日本語に訳しました。

「ふたりのおかあさんからあなたへのおくりもの」

あるところに二人の女の人が居ました。

お互のことを、まったく知らない二人です。

一人をあなたは覚えていません。

もう一人をあなたはお母さんと呼んでいます。

その二人のいることが、

他のだれとも違うあなたらしさに繋がっています。

一人はお星様のように(遠くから)あなたを優しく見守り、

もう一人はお日様のように(近くから)あなたを暖かく包

みます。

一人はあなたを、おなかのなかで育み生みました。

もう一人はあなたと一緒に生きてきました。

一人はあなたに愛を求める力を与え、

もう一人はあなたを、どんな時でも愛しています。

一人はあなたを、その国の人にして、

もう一人は名前を付けてくれました。

一人はあなたに生まれ持った才能を与え、

もう一人はその才能を伸ばして 夢を持たせてくれまし

た。

一人はあなたに喜びや悲しみを感じる力を与え、

もう一人は不安で一杯のあなたを安心させてくれまし

た。

一人はあなたの生まれたばかりの可愛い微笑を何時も

思い、もう一人はあなたの悲しみを包み込んでくれまし

た。

一人はあなたと別れました。それがあなたの為に出来る

精一杯の愛でした。

もう一人はあなたに逢いたくて－生懸命祈り、(子どもが

与えられるように祈り、神はその祈りを拒否なさらなかっ

た)(神は引き合わせてくれました。)

そして今あなたは、何年も質問したかったことを、ずっと

気になっていたことを目に涙を浮かべながら質問します。

私は先天的にか、境遇的にか、どちらで生まれたのですか。

(Heredity or environment which are you a product of ?)

私の愛する子よ、どちらでもありません。

ただ、二つの愛があるのです。

日本で児童養護施設で生活している子どもたちは約２万

５千人という事です。現在、家庭的養護への施策が進み、特

別養子縁組、里親制度などで家庭に迎え入れられている子

どもたちがいます。日本バプテスト連盟の牧師家族が私が

知り得ているだけで３家族で５人の子どもたちがいます。愛

していることを、また愛されていることを体験することは本当

に大切な事ですが、それは大変な事です。しかし愛が伝わる

時それは感動となります。すべての子どもたちが守られ、神

の恵みと祝福のうちにありますように。