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「人を変える方」 泉清隆

元・暴力団の人の話です。彼は、ヤミ金からお金を借

りていた人の家に取り立てに行った。その人は勤めてい

た会社が倒産し妻が子どもを置いて出て行き小学3年

の男の子と二人で暮らしていた。暴力団の彼が「ボラン

ティアで貸しているんじゃない。詫びはいいから、金を返

せ」と大声で怒鳴ると、その人は頭を下げて「すいませ

ん、もうちょっと待ってください」と言い、さらに玄関先で

土下座して、「ごめんなさい。赦してください。もう少し待

ってください」と何度も懇願したが、彼は「待てない!」と

言った。その時、家の奥から小学校3年生の息子が走り

出して来て、父親にしがみつき父親をギューっと抱きしめ

ながら、暴力団の彼の方をじっと見て睨みつけてきた。そ

の目は涙ぐんでいて、暴力団の彼から目をそらさなかっ

た。暴力団の彼は子どもが睨みつけてくるその目を見て

何も言葉が出てこなかった。ようやくのことでその子ども

から目をそらして「ちょっと電話をかけてくる」と言って車

に戻った時に、暴力団の彼の口から思わず「この仕事は

嫌だ。俺はいったい何やってるんだ。俺はこんな仕事した

くない」という言葉が出た。そしてもう一度、親子のところ

に戻って、子どもに「さっきは大声を出して悪かった。お父

さんは悪くないんだ。お父さんに無理なことを押し付けて

いるこの私が本当は一番悪いんだよ」と言って、父親に

「金利込みで15万円の借金は私が帳消しにするから、

もういい」と。そして「これは私からの餞別だ」と言って30

万円を渡した。自分の借金の2倍の額を渡して「二度と

借金するんじゃないぞ。これを次の就職のための支度金

にしろ。あんたがほんとにちゃんと働いているかどうか、

時々見回りに来るから」と言った。そして「いい息子を持

ってよかったな」と言って別れた。

この暴力団の彼はその後、聖書を読んで教会に行くよ

うになりその話を牧師にした。

牧師は「あなたは借金を帳消しにして、自分のポケットマ

ネーから30万円も出す。なんでそんなことをしたのです

か。しかも借金をしている人に向かって、なぜ『悪いのは

自分なんだ』と言ったのですか」と訊いた。彼は「清いも

のに触れた時、自分がいかに汚れているかということが

わかった」と答え、「 今、自分の目の前にいる小学3年

の子どもが、『お父さんはどうしようもない人に見えるか

もしれないけど、僕にとったらたった一人のお父さんで

す。

このお父さんを苦しめるのだったら、お父さんと僕は一緒だ

から、僕はお父さんと一緒に滅んでもいいと思っている』と、

それは、覚悟している人間のまなざしだった。自分には何の

力もないけど体を張ってお父さんを守るのだというその純粋

な心というか、そういう清らかなものを見た時に自分はほと

ほと罪人だなと思った」。そして「私は今まで暴力で人たちを

屈服させてきたが、あの時、愛する者を体を張ってかばって

いる姿を見た時に、こんな息子がいたらどんなにいいだろう

かと思った。しかし後に聖書を読んでわかった。こんな息子

は神の子イエス・キリストだったのだ、と」。…イエス・キリスト

がいてくださって良かった…。

 

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