「ヤバい神」 泉清隆
先日も旧約聖書は理解が難しいという話がありま
した。良く言われる「旧約の神」という表現です。
「ヤバい神...不都合な記事による旧約聖書入門とい
う」トーマス・レーマー著の翻訳本があります。序
文の箇所をまとめると「ヘブライ語聖書(旧約聖書)、
キリスト教の聖書(新約聖書)を読んで理解する事
は、ヨーロッパの読者でも決して簡単な事ではあり
ません。日本の、アジアの読者にとっては、聖書と
読者の間にある文化的な隔たりは更に大きいことと
思います。...キリスト教徒として読み、聖書の(テ
クスト...本文)に霊的な導きを求める時、聖書には
理解する事が困難なテクストが含まれているという
事実に読者は直面します。その理由として、特定の
歴史的な状況に根ざしているもの。テクストの内容
が性差別的、残忍なものなもの。...奴隷制やアパル
トヘイト、死刑、女性の抑圧なとを正当化する為に
聖書が用いられています。かなりのキリスト教原理
主義者が異なる信仰を持つ人、中絶の権利、性的少
数者を聖書を用いて断罪しています。そこで、問題
を感じる聖書箇所についての理解を助ける情報を提
供して聖書が書かれた歴史状況を理解する必要があ
るという事です。聖書を正確に理解するためには、
テクストとそれぞれの文脈に置き直す必要がありま
す。私たちは聖書の最初の読者ではないのです。読
み手と解釈者による連鎖につながっています。私た
ちと聖書(テクスト)との間には歴史と文化の隔たり
がある事に気づく事は大事な事です。そして、具体
的なこととして、ヘブライ語聖書(旧約聖書)は古代
中近東の伝統に深く根ざしている事。そして旧約聖
書の「征服」「聖戦」...旧約聖書本文では(滅ぼし尽
くして)に関する聖書の考え方は聖書の書き手が新
アッシリアのイデオロギーを採用し、彼らの考え方
に沿って変更したのです。」とありました。
新改訳聖書は「聖戦」と訳されていますが、この
ことにつまずいたクリスチャンの方がいて、その事
で神学部の論文を書かれた方がありました。それに
しても「ヤバい神」とは非常に引きつけられる題で
す。
4世紀末のヒッポのアウグスティヌスは、2つの主
題から神学的な思索をしたそうです。
ひとつは「主よ、あなたは私にとってどういうお方
なのでしょう」そして、「私はあなたにとってどういう
者なのでしょう」
私たちも聖書を通して、神について知りたいです。
そして、自分がどんな者なのか更に知りたいです。
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