「世界終末時計」 泉清隆

世界終末時計(Doomsday Clock)は、核戦争などに

よる人類の絶滅(終末)を『午前０時』になぞらえ、

その終末までの残り時間を「０時まであと何分(秒)」

という形で象徴的に示すアメリカ合衆国の雑誌『原

子力科学者会報』(Bulletin of the Atomic Scient

ists) の表紙絵として使われている時計です。実際

の動く時計ではなく、一般的に時計の45分から０時

までの部分を切り出した絵で表されています。この

時計は1947年に始まり最初７分前でした。４９年に

ソビエト連邦が核実験に成功して核兵器開発競争の

始まりで３分前。1953年アメリカ合衆国とソ連が水

爆実験で２分前。しかし1960年にアメリカとソ連が

国交を回復して５分戻って７分前に。1963年、アメ

リカとソ連が部分的核実験禁止条約に調印して更に

５分戻り１２分前に。1968年、フランスと中華人民

共和国が核実験に成功し、第三次中東戦争、ベトナ

ム戦争、第二次印パ戦争の発生。５分進んで再び７

分前に。1969年、アメリカの上院が核拡散防止条約

を批准し、３分戻って１０分前に。1972年、米ソが

SALT IとABM条約を締結し、２分戻り１２分前に。1

974年インドが最初の「核爆発」に成功し９分前。1

980年南北問題。イラン・イラク戦争で７分前。198

4年までは３分前まで行きましたが、一転、1991年

のソビエト連邦の崩壊。ユーゴスラビア連邦解体で

１７分前までになりました。この時が現在までの中

で最も終末までの時間が一番残されている時になり

ました。それだけ平和への希望が高まったといえま

す。しかし1995年以降は現在まで終末に近づいてい

ます。一時、2010年にオバマ大統領による核廃絶で

１分は戻りましたが、今年2023年は終末まで分では

なく９０秒となりました。

最初は核戦争の脅威からの指標を考えていたので

すが、2007年からは気候変動や世界的な災害を引き

起こしうるあらゆる人為的な脅威も考慮してきまし

たし、更にはパンデミック、悪意を持った人工知能

(AI)、さまざまな破滅の可能性に直面している生物

兵器、細菌、ウィルスによるものも考慮されていま

す。その度合いを数値化することは難しいことです

が、人類はこの終末時計の針を元に戻すことができ

ると思います。

本日は広島に原爆が投下された日、そして９日(水)

は長崎に原爆が投下された日です。本日の礼拝と水曜

日の聖書の学びと祈り会で平和を求める人々と共に心

を合わせて祈りましょう。