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「信仰の危機」 泉清隆

米国のニュース雑誌「TIME」に2007年8月23日に

Mother Teresa's Crisis of Faith「マザーテレサの

信仰の危機」という記事が掲載されました。それを2018

年11月に古賀教会の客員会員でした加藤孝二さんが

訳して、壮年会の例会でお話しくださいました。

1979年12月にスラムの聖人と言われたマザーテレ

サ(アグネス・ボヤジュ)は1948年からインドのカルタッ

タでの貴い働きの為に、ノーベル平和賞が授与されまし

た。マザーは自己犠牲的な働きの世界的な先駆者とし

て「私たちの心の中にいるキリスト、私たちが出会う人々

の中にいるキリスト、私たちが与える笑顔と私たちが受け

取る笑顔の中にいるキリスト」についてメッセージをした

のです。しかし、そのわずか3か月前に、心から信頼でき

る牧師に宛てた手紙の中で、別のキリスト、不在のキリス

トについて、親しみを込めて「イエスはあなたに特別な愛

を抱いています」とマザーは牧師に書きましたが、マザー

は「しかし、私にとっては、沈黙と空虚があまりにも大き

く、私は見ても見ず、聞いても聞こえず、舌は祈りの中で

動いても話せないのです…私のために祈ってほしいの

です。私がイエスに自由に委ねられるように。」と書いて

います。この二つのマザーの言葉は、世界が知っている

マザーの姿ともう一つは自己矛盾に満ちた姿です。66

年に渡るマザーテレサと告解師、上司とのやりとり書簡

をまとめたMother Teresa:Come Be My Light

「マザーテレサ、来て私の光となりなさい」の本の中に

は、マザーが人生の最後の半世紀近く、神の存在を全く

感じなかったこと、心にも、ミサ(聖餐)にも感じなかったこ

とを明らかにしています。その神不在は、マザーがカルカ

ッタで貧しい人々や死にゆく人々の世話を始めたのとほ

ぼ同じ時期に始まったようで、1959年の5週間の休暇

を除いて、決して弱まることはなかったのです。人前では

常に明るいが、手紙の中のテレサは深く永く精神的苦痛

を抱えて生きていたのです。その多くはこれまで出版され

たことのない40通以上の手紙の中で、彼女は自分が経

験している「無気力」、「暗闇」、「孤独」、「拷問」を嘆い

て、マザーはこの体験を地獄にたとえ、ある時は、天国の

存在、さらには神の存在さえ疑うようになったと述べてい

ます。マザーは、自分の内面の状態と公の場での態度の

矛盾を痛感し「笑顔は仮面」または「すべてを覆う外套」

であると書いています。

そのような中でマザー・テレサは、十字架上のキリスト

と会話するビジョン(幻視)を見た事を、告解師であるセ

レスト・ヴァン・エクセム神父は、その神秘的な体験が本

物であると確信し「マザーと主との一体感は継続的で、

非常に深く激しいので、歓喜はそれほど遠くないようで

す」とコメントし、テレサは後に「イエスは私にご自身を捧

げてくださった」と簡潔に書いたのです。

ザーの苦悩の祈りです。「主よ、私の神よ、あなたが私

を見捨てるとは、いったい何者なのでしょう。あなたの愛の子

である私が、今や最も憎まれる者、望まれず、愛されない者

として捨てられた者となりました。私は呼び、すがり、求めま

す。でも答えてくれる人はいません。すがれる人もいません。

誰もいません。ただ一人です…私の信仰はどこにあります

か。心の奥底にさえ、空虚と暗闇しかありません。神よ、この

未知の痛みはどれほど辛いことでしょう。私には信仰があり

ません。…中略…神は私を愛していると言われていますが、

暗闇と冷たさ、空虚さの現実はあまりにも大きく、何も私の

魂に触れることができません。御心の呼びかけに従ったのは

間違いだったのでしょうか?」しかしこの後、心理学者の「問

題はマザーが経験した見捨てられた感じを誰が決定したか

である」という指摘で、マザーは「私はかつて愛された事の

ない程イエスを愛したい」と告白しました。(牧師訳)

今回、イエス・キリストの荒野の誘惑を読んで思い出した

ことです。

 

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