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「信教の自由を守る日」に関連して 金子純雄

今月11日(火)は一般の暦では国民の祝日の一つ

「建国記念の日」ということになっていますが、それが、天

皇を神として崇めた戦前回帰の思想や意図を背景に制

定されたことは確かです。戦前、この日は「紀元節」と呼

ばれ毎年、国を挙げて盛大な祝賀式が行われていまし

た。「神武天皇即位の日」とされ、わたしは小学生時代

に「紀元2600年」奉祝会に参加したことを覚えていま

す。西暦より660年ほど長く、日本史では弥生時代と言

われますから、神武天皇の存在や事績も多分に神話的

な要素が含まれていることは確かです。紀元節が定めら

れたのは明治6年のことです。明治維新を生み出した政

府は天皇の神格化を図り、同22年2月11日に発布され

た大日本帝国憲法には、第1条「大日本帝国は万世一

系の天皇、これを統治す」、第3条「天皇は神聖にして侵

すべからず」と明記されています。子供の頃に叩き込ま

れた言葉は「神州日本」と言うことであり、翌年発布され

た教育勅語では「忠君愛国」を教え込まれました。

天皇を神とする国家体制の中でクリスチャンたちが塗炭

の苦しみを味わったことは良く知られています。戦時中

「天皇とキリストとどちらが本当の神か」と問われてキリ

スト告白を貫き、獄死したクリスチャンたちも少なくありま

せんでした。

敗戦によって、戦前の「紀元節」は廃止され、1946年

11月3日に公布、翌年5月3日に施行された「日本国憲

法」が、天皇を日本国民統合の象徴であり、国政に関す

る権能を持たず、その地位は主権の存する日本国民の

総意に基づくと規定したことは至当なことでした。また昭

和天皇の「人間宣言」(1946年1月1日)は人でありな

がら神として振舞わねばならなかった戦前の苦衷の表

明でもあったのではないでしょうか。

新憲法で、もう一つ注目すべきことは「信教の自由」

の保障と言うことです(第20条)。今日、民主主義を標

榜する国では当然なこととされていますが、それが米国

における最初のバプテスト教会の牧師であったロジャー

・ウイリアムスの所説に由来するものであり、その主張は

バプテスト教会の基本理念として大切にされたばかり

か、アメリカ合衆国の憲法修正第1条〈1791年〉にも明

記されて今日に至っています。祭政一致の国教会が力を

振るう英国から米国に逃れ、身を切るような苦悩の中で

「信教の自由」を体得し、主張したウイリアムスらの事績

はバプテストの誇るべき嗣業の一つであり、決して疎か

にしてはならないと思います。

日本バプテスト連盟事務所では、この日は出勤日となっ

ています。またキリスト教会をはじめ民主的な市民団体が例

年この日を「信教の自由を守る日」として各地で講演会等

を開き「信教の自由」をはじめ市民的な自由の大切さを確

認し、市民に広く呼び掛けていることはご承知の通りです。

私たちは日本を再び「神ながらの国」とするために祭政

一致を求める勢力が、休日が増えたことを歓迎するような

民意に乗じて、日本を過去に戻すような企てに、よくよく注意

を払わねばならないと思います。

 

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