「善き力にわれ囲まれ」泉清隆
新生賛美歌73番「善き力にわれ囲まれ」はドイ
ツ告白教会の牧師ディートリッヒ・ボンヘッファー
(1906-1945)による讃美歌です。ボンヘッファーは
ナチ政権を批判し、地下抵抗運動に加わり逮捕され
ます。この詩は獄中で書かれ、処刑の約4ケ月前に
婚約者に送った詩であったそうです。切追した中で
の平安を語る詩は、私たちに大きな慰めを教えてく
れるものです。もとはドイツ語の賛美歌ですが、そ
の元になった言葉が『ボンヘッファー獄中書簡集』
の470頁にあります。村上伸さんの翻訳です。
良き力に真実に、静かに囲まれ、すばらしく守ら
れ、慰められて、私は現在の日々をあなた方と共に
生きようと思う。そして、あなた方と共に新しい年
へと歩んでいこう。
古い年はなおもわれわれの心を苦しめようとして
おり、悪しき日々の重荷は、なおもわれわれを圧迫
する。ああ、主よ、われわれのとび上がるほど驚い
た魂に、救いをお与え下さい。あなたはそのために
われわれを造り給うたのですから。
そしてあなたが、重い杯を、 苦 い 苦 しみで今に
にがくる
も溢れんばかりに満たされた杯をわれわれに渡され
るなら、われわれはそれを、ふるえもせず、あなた
の良い、愛に満ちた手から受けよう。
だが、あなたがもう一度われわれに喜びを、この
世界について、その太陽の輝きについての喜びを下
さるおつもりなら、われわれは、過去のことを覚え
よう。そしてその時、われわれの生はすべてあなた
のものだ。
今日はこのろうそくを暖かく、明るく灯らせてお
いて下さい。それはあなたがわれわれの闇の中にも
って来て下さったものなのです。もしできることな
ら、われわれがもう一度会えるようにお導き下さい。
われわれは知っています。あなたの光は、夜輝くの
です。
静けさが今、われわれのまわりに深く広がるとき、
われわれにあの豊かな音を聞かせてください。
目には見えなくてもわれわれのまわりに広がる世界の
豊かな音を、すべてのあなたの子らの高貴なほめ歌を。
良き力にすばらしく守られて、
何が来ようとも、われわれは心安らかにそれを待とう。
神は、夜も朝もわれわれのかたわらにあり
そしてどの新しい日も必ず共にいまし給う
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