日本の歴史責任を直視し、韓国のキリスト者・市民社会と建設的対話を続ける
- kogabaptist
- 2019年9月16日
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韓国の大法院(最高裁判所)は昨年2018年10月30 日、元徴用工4人が新日鉄住金(旧 日本製鐵)を相 手に損害賠償を求めた裁判で、元徴用工一人あたり 1億ウォンを支払うよう命じました。この判決で、 本訴訟の背景として日本の不法な植民地支配と侵略 戦争遂行があり、元徴用工たちは日本企業によって 反人道的な不法行為を受けたこと、また彼らの損害 賠償請求権は1965年に締結された「日韓請求権協定」 の対象外であり、同協定によっても韓国政府の外交 保護権と個人の損害賠償請求権いずれも消滅してい ない、と判示しました。また11月29日、三菱重工に 対しても同様の判決を出しました。これに対して日 本政府は、元徴用工の個人賠償請求権は日韓請求権 協定により「完全かつ最終的に解決している」とし ました。そして今年7月4日の半導体3部品の対韓 輸出規制に続き、8月2日、韓国を輸出優遇国リス トから除外する閣議決定をおこないました。 ここで問われているのは植民地・戦争被害者の人 権問題です。そして、日韓請求権協定により個人請 求権は消滅していないのです。実は日本の最高裁判 所は、日本と中国との間の賠償関係について、外交 保護権は放棄されたのですが、被害者個人の賠償請 求権については、「請求権を実体的に消滅させるこ とまでを意味するものではなく、当該請求権に基づ いて訴求する権能[裁判によって救済を求める法律 上の能力]を失わせるにとどまる」と判示していま す(2007年4月27日判決)。そもそも日本政府は,従 来から日韓請求権協定により放棄されたのは外交保 護権であり,個人の賠償請求権は消滅していない、 との見解を繰り返し表明しています(第121回国会予 算委員会/第123回国会外務委員会/第123回国会予 算委員会)。
中国人強制連行・強制労働事件である花岡(鹿島 建設)事件、西松建設事件、三菱マテリアル事件で は、訴訟を契機に、日本企業が事実と責任を認めて 謝罪し、その証として企業が資金を拠出して基金を 設立し、被害者全体の救済を図りました。そこでは、 被害者個人への慰謝料の支払いのみならず、受難の 碑などを建立し、毎年、中国人被害者とその遺族を 招いて祈念式などを催すなどの取り組みをしてきま した。ですから新日鉄住金・三菱重工もまた、元徴 用工の被害者全体の解決に向けて踏み出すべきであ り、それは企業としても国際的信頼を勝ち得ること になると考えます
そのためにも私たち日本の教会・キリスト者は歴史 責任と向き合っていく事が大事です。
「私たちは過去の悪事を、それがあたかも起こらなか ったかのように忘れることはできない。犠牲者に忘れ ることを強いることは、彼らの尊厳を再び貶めること になる。私たちは、決して忘れることはできないが、 違った仕方で記憶することはできる。つまり、私たち が過去と加害者に対し、それまでと違った関係を築く ことを可能とする記憶の仕方がある。それが、私たち がキリスト者として招かれていることなのである」 (2005年世界教会協議会世界宣教伝道委員会『和解のミ ニストリーとしての宣教』)
日本バプテスト連盟が加盟している外国人住民基本法 の制定を求める全国キリスト教連絡協議会(略称:外キ 協)が2019年8月15日に出されたものをまとめました。
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