信仰の拡がり
- 金子政彦
- 2019年10月19日
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ホスピス緩和ケア(終末期医療)とは、単なる延命 医療ではなく、死と向き合い、死を看取るために、 患者さんとその家族を、ひとりの人間として受けと めながら、いのちの質を高める為の看護・介護のこ とを言います。世界的には1960年代、イギリス・ロ ンドン郊外のセント・クリストファー・ホスピスの 取り組みが知られており、1980年代に、日本にも導 入されました。 人は、不治の病やさまざまな喪失体験など、自分の 世界観・人生観が変わるほどの変化や不都合な状況 に直面した時、多くの場合、その準備は、ほとんど できていないと言われます。特に、自分自身の死と 向き合う場合は、同じ境遇の仲間を見つけにくく、 孤立感を抱きやすいそうです。 人間の悲しみや痛みを理解するために、人としての 痛みを4つの種類に分ける考え方があります。①身 体的苦痛、②精神的苦痛、③社会的苦痛、④霊的苦 痛の4つです。 ①「身体的苦痛」とは体の痛みなど、②「精神的苦 痛」とは不安や恐れなど、③「社会的苦痛」とは人 間関係の破綻や経済的な問題など、④「霊的苦痛」 とは人生の意味を見失うことなどが具体的に挙げら れます。もっと分かりやすく言うと「いたい」、「さ びしい」、「こわれる」、「こわい」などの感覚と言え るでしょうか?これらの苦痛に各分野の専門家が寄 り添い、苦しみを軽減する関わりを持つことが、ホ スピスの役割になります。 絶望的な状況と向き合うときに、心の支えとなるも のはなんでしょうか?私たちは、自分の死に対して、 本気で向き合う経験に乏しいものです。ですから、 死の苦痛の中に在る方々の気持ちを、いわゆる元気 な人が、本当の意味で理解し、共感することは難し いといえるかもしれません。 ただ、人間の歴史の中で、絶望的な死に向き合い、 それを乗り越えてこられた方がいらっしゃいます。 イエス・キリストです。神さまは、イエス・キリス トの十字架の死と復活を通して、私たちをイエスさ まと共に生きる者としてくださいました。死はもは や、人生の終着駅ではないのです。その神さまの約 束に私たちが信頼して歩みを起こす時に、私たちは、 苦痛と絶望の中にいる方々に、癒しと希望を運ぶこ とができます。 「信仰」と呼ばれる私たちのイエスさまに対する信 頼は、自分自身の心の中の出来事に留まらず、苦難 の中に在る隣人の慰めにつながっていくのです。
金子政彦兄
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