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施設ボランティアについて         金子純雄

仙台市に「仙台敬老奉仕会」というNPO法人があります。創立者であり現理事長の吉永馨先生は仙台バプテスト教会員で、長く東北大学医学部で要職を務められた内科医ですが、早くから高齢者問題に意欲的に取り組み、教会でも「老人問題を考える会」など同先生の提唱や指導の下で学んでいました。教会としてプログラム化するまでには至りませんでしたが、先生の呼びかけに呼応して教会内外の有志が参加、上記の法人が誕生して10年余になります。

 高齢者問題について研修会等を定期的に開催して訓練や啓蒙活動を展開すると同時に、特別養護老人ホーム等の施設での介護ボランティアの募集・訓練を目的に現在では市内の10施設でボランティア活動が実施されています。最近では、仙台市に隣接した富谷市がこの運動に注目、市を挙げて寄り添いバランティアの育成に取り組み、成果を上げていると聞いています。

 ボランティアについては、阪神大震災における全国的なボランティアの活躍で、日本におけるボランティア元年と喧伝され、東日本大震災や熊本大地震、また毎年のように頻発する風水害におけるボランティアの目覚ましい活躍ぶりが伝えられていますが、それでもなお欧米とは大きな懸隔があり、ことに高齢者や養護施設等でのボランティアの理解や参与の仕方にはまだまだ厚い壁があるようです。一つにはお手伝い意識から抜け出せず、善意を売りものにして、自分の都合を先立ててしまうことが少なくないということです。逆に施設によっては「猫の手も借りたい」ほどの多忙感にひしがれながらも「有り難迷惑」扱いすることもあるようです。そこには「プロとアマを判然と区別することでお互いの分を守る」という社会通念や意識が強く潜んでいるとも思いますし、お手伝いなのだからという一種の弁解が通用する甘えの構造があるのかもしれません。しかし、苦しむ人を目の前にして、思わず駆け寄って手を添える姿(ルカ10:26~37)に素人も玄人もないはずです。そこから始まる「共助」の姿にこそ人間の基本的な生き方があり、どのような類のものであれ、ボランティアの存在理由と意味があるのではないでしょうか。

我が国における病院や各種施設でのボランティア活動はまだまだこれからだと思いますが、ライフスタイルとしてのボランティア精神と姿を少しでも身に着けて行きたいものと思いますし、教会的な取り組みが出来ればと願っています。

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