top of page

「イエスから始まっている癒しと和解」 ルカによる福音書23章32~43節

「無期懲役ではなく極刑を」と、子どもを殺された親の切実な訴えです。「どこまでも憎しみを抱き続けて生きよう」と決めざるを得ない深い痛み悲しみに言葉を失います。まさに許しがたい出来事の被害者なのですから、誰もその言葉に「否」を唱える資格はないでありましょう。

一方、両親を惨殺され、自分も鉈(なた)で切りつけられて今も深い傷痕に痛むサベリアナさんは、その殺人者タデヨさんを前にきっぱりと言いました。「私はあなたを赦します」と。その時以来、タデヨさんは虐殺被害者親族と加害者が集う「癒しの集い」で、「私は加害者ですが、あの人に赦していただきました」と語り始めたのです。勿論ここに至るまでには多くの年月を要したのですが・・・。これは佐々木和之さんが働くルワンダで今起こされている実話なのです。こうして彼女も彼も尊厳をとりもどし、サベリアナさんは日常の営みに、タデヨさんは償いの役務に就こうとしているのです。

第三者が被害者に、「加害者を赦してあげましょう」などとは、決して言い得ないことです。ただ被害者の痛みに寄り添い続けるだけです。寄り添いつつ心の内でキリストの愛へと共に近づくのです。何故なら、私たちは神が御子イエス・キリストの祈りを聴き給うお方と信じるからです。「父よ、彼らをお赦しください。」(ルカ23:34)との御子イエスの願いを聴いて下さる神であると信じるが故に、両者の癒しと和解も不可能ではないと期待するのです。

佐々木さんたちは、今、刑期を終えた虐殺加害者たちが「いのち」を慈しみつつ生きられるように、子豚を飼育して安定した収入を得ることへと導く働きを試行しています。こうして他の虐殺加害者たちも自発的に罪を告白できる環境を整えているのです。ルワンダにおける20年前の大虐殺犠牲者は80~100万人と推定され、総人口の1割以上でした。サベリアナさんとタデヨさんの出来事は大海の一滴にしか過ぎません。でも、2000年前の主イエスの出来事から始まった「癒しと和解の出来事」は、今や世界中で見出されています。然り、すべては、あの主イエスの十字架上での祈り、「父よ、彼らをお赦しください!」から始まっているのです。

       TK生

タグ:

Featured Posts
Recent Posts
Search By Tags
Follow Us
bottom of page