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「神に心を向けて」 コヘレトの言葉 11:9~12:2

今朝ごいっしょにお読みした「コヘレトの言葉」は、「伝道の書」という口語訳聖書の書名で慣れ親しんでこられた方も多いのではないでしょうか。「コヘレト」とは「集める者」を意味し、ここから「人々を集め、教えを伝えた者」という解釈がなされ、「伝道の書」という書名がついたと言われます(諸説ありますが…)。けれども、コヘレトは人々を集めただけではなく、幸福な人生を送るために考え得るすべてのものを集めたのです。「エルサレムの王、ダビデの子、コヘレト」-1:1より-と自称するこの人はおそらく裕福な家庭に育ち、何不自由なく食べ、飲み、あらゆる快楽をも欲するままに求めることができたのです。しかし、そのような体験の果てに、彼はこれらのものが皆、風のように過ぎ去るものであり、人生に本当の幸福をもたらすことは出来ないのだと気づいたのです。

 今朝の聖書でコヘレトは「お前の若さを喜ぶがよい。青年時代を楽しく過ごせ。心にかなう道を、目に映るところに従って行け」-11:9より-と、希望に燃えて歩む若者たちを励ましながら、同時に「青春の日々にこそ、お前の創造主に心を留めよ」-12:1より-と勧めています。

年齢にかかわらず、自分の目標に向かって精一杯力を注ぐ時ほど充実した瞬間はないでしょう。けれども、人が「まことの豊かさ」に生きるためにはその生涯のどこかで、否、出来るだけ早い時期に神に心を向けて新たに歩みだすことが大切だと、彼はみずからの体験を通して教えているのです。パウロはフィリピ2:4~5で「めいめい自分のことだけでなく、他人のことにも注意を払いなさい。互いにこのことを心がけなさい。それはキリスト・イエスにもみられるものです」と言っています。日々のあわただしい歩みの中で静まって神の求めが何であるかに耳を傾けるときに、本当の幸福とは隣人と喜びを分かち合い、重荷をも担い合うことから始まるのだということを知るのです。

この朝、コヘレトの知恵の言葉を手がかりに、新たな信仰の決心へと導かれたいと思います。

内田章二 協力牧師

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