辻宣道牧師
- 泉清隆
- 2018年6月2日
- 読了時間: 2分
今 の時代、日本では、教会が ひどい迫害を受けるこ とはあまりありま せん。しかし、日本の教会も 昔 し は ず い ぶ ん 苦しめられていました。当時、日本では、 天 皇が神であると 言われていました。でも クリス チ ャンの中にはそのことに 否 と 言った人 々がいました。 「神 様はただ1人であって、天 皇もまた1人の人 間 である、だから天 皇を礼拝することはできない」と 言ったのです。 最後まで妥協しなかった人たちは、 捕まえられて、刑務所の中にたたき 込まれました。 辻 宣 道(つ じ の ぶみち)とい う牧師がいました。 静 岡 市の教会で牧師をしておられました。 辻牧師のお 父さんもまた牧師をしておられました。 辻牧師が小 学校6年生の 時のある 朝、彼 の 目の前で、 彼のお 父 さんが警察に 縛られて 引かれていきました。それか ら3年 間、辻少年は、学校の行き 帰り、 毎日のよ う に、お 父さんが 捕まえられている刑務所の前を 通 っ たそ うです。そんなある日突然、刑務所から 電報が 来ました。「辻啓三(つ じけいぞう)牧師、死 亡。至急 死 体 を 引 き 取りに来るべし。」 辻牧師はその 時のこと を、次のよ うに書いています。『降っては やみ、 降 っ ては やみを 繰 り 返 す 雪 の 冬でした。 母は、 末 の 弟 を 背負い、 私といっし ょ に刑務所 に急ぎました。 父 は その 時、既にこときれていました。これ 以 上痩せ る ことはできないと言う程痩せ た遺体 が 横たえられて いて、 枕 の 下 に 私が書き 送った手紙 が 入れてありま した。 繰 り 返し、 繰 り 返し、 父 が 読んだのでしょう。 2ヶ所指 の 跡がついていました。その 冷たい死 体 と なった 父を見ながら、 私 は 唇 を 噛 み 締めました。 火 葬場に死 体 を運ぶ間 は 晴れていましたが、 翌日、 骨 を 拾いに行く 時には猛烈 な吹雪でした。 雪の思い出 は 悲しい。世間 の 冷たさと、 雪 の 冷たさが 混 じって、 私 の 心 は 津 々 と 凍ってゆきました。 父 が 引かれてい った 朝のこと、 母 が刑務所 に 面会に行った クリスマ スのこと、 泣 き じ ゃくる 弟たちの世話で一日が 終 わ ったときのこと、それでも 我 慢して…。こらえに、 こらえていた思いがその 時、堰 を 切ってあ ふれて出 てきました。 誰 に 向かってこの思いを 叫 ぶべきか、 誰もいま せん。後から後から 降ってくる 雪 に 向かっ て 私 は『ば か や ろ う。ば か や ろ う。神が生きている なら 何で。 何でこんな事が起こるんだ。馬鹿 野郎』 と
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