「幸せの黄色いハンカチ」
- 泉清隆
- 2018年7月27日
- 読了時間: 3分
幸せの黄色いハンカチという映画がありました。 主人公は北海道の炭坑の町で働いていたのですが、 喧嘩のはずみで人を殺めてしまい刑務所に入れられ てしまいます。そして数年後に刑務所を出て、自分 の家に帰ることになります。しかし、気がかりなの は、人を殺めてしまった自分を妻は待っていてくれ ているだろうか、それとも「もうあなたなんかとは 無関係だ。帰ってこなくてもいい」と拒まれてしま うのだろうかということです。不安に揺れる主人公 を高倉健が演じている山田洋次監督の名画です。妻 が夫を待っていてくれるという赦しのサインが、黄 色いハンカチなのです。 この「幸せの黄色いハンカチ」という映画は、も ともとアメリカで実際にあった話だと言われていま す。シカゴから南の方へ行く長距離バスに数人の学 生が乗っていました。その同じバスに一人の男の人 が乗っていました。男の人はかなり痛んだ灰色の服 を着て、荷物は汚れたボストンバックが一つ、とて も疲れ切った顔で物思いに沈んでいます。やがてバ スは小さな町のレストランの前に停まりました。学 生たちは賑やかに食べに行きましたが、男の人は独 りぽつんとバスに残ったままです。それからバスは また走り出します。ずいぶん走って次の休憩所に着 いたときも、男の人はコーヒーを一杯飲んだだけで した。学生たちは、この男の人のことが気になりま す。「いったいどうしたんだろう、お金が無いのか、 それともどこか病気なのだろうか」。一人の女子学生 が思いきって声を掛けました。その男の人は最初は 何も喋りませんでしたが、そのうち少しずつ自分の ことを話し始めたのでした。「実は、私は悪いことを して、警察に捕まって、5年間刑務所にいたんです。 そして3日前に釈放されたところなんです」。この男 の人は妻に対して、もう私のことなんか放っておき なさい。良い機会があったら、他の人と結婚しなさ いと言ったそうです。でも、刑務所を出て、最初に 会いたいと思ったのは妻のことです。男の人は手紙 を書きました。「もしも迎えてくれるなら、村のはず れの樫の木にリボンを結びつけておくれ、リボンが なければ、会わないでそのままバスに乗っていって しまうから」。村のはずれの大きな樫の木には、黄色 いリボンが、一枚じゃなくって、枝という枝に、何 十枚、いやもっと数えられないほどに、まるで花を 咲かせたように、結びつけられて、輝いていたので す。そしてこれをもとにして、北海道を舞台にした 「幸せの黄色いハンカチ」という映画が生まれたの でした。
ところで、「黄色いリボン」は実際にあった話だと言 われていますが、実は、聖書の放蕩息子の譬え話を現 代に置き換えた物語だとも言われています。どんなに ひどい罪を犯しても、どんなに過ちを繰り返しても、 黄色いリボンやハンカチが、それこそ花を咲かせたよ うに迎えてくれる。それが聖書の語る父親の赦しです。 罪人が神さまのもとに立ち返るとき、神さまは私たち の罪を赦し、むしろ私たちを喜びを持って迎え入れて くださるのです。
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