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「モチーフ」

  • 内山賢次兄
  • 2019年9月7日
  • 読了時間: 3分

「頭の中に描きたいものがある。それを的確な形と 構図にまとめるにはデッサン力が不可欠だが、絵の 決定的な価値はデッサン力を超えたモチーフの強さ によって与えられる」と香月泰男(1911~1974)は絵 の価値はモチーフの強さであり、モチーフからイメ ージが創造されると言う。香月泰男といえば代表作 「シベリアシリーズ」57点であるが、自らのシベ リア抑留体験のモチーフは望郷、飢餓、死に分類さ れる。戦地では絵描きとして偉くなろうという野心 は彼にはない。純粋に心に滲むものを描いた。自分 だけが生き残っている後ろめたさ、人間が人間らし く人間として生きることを刻み続けたに違いない。 絵はその時をどう生きたか、人間の記録である。舞 鶴港にダモイ(帰国)後の1947年から亡くなる74年ま で戦地に狩り出され抑留生活で見たこと、体験させ られたことを描き続ける強烈で深遠なモチーフは戦 後社会に対する「異議申し立て」である。アジア太 平洋戦争で310万の犠牲者を生み出したにもかかわ らず、「一億総懺悔で過去を一掃し、モノの豊かさ を目標に自然破壊、公害を無視して経済成長へとひ た走ってきた戦後社会」へのプロテストといえる。 今夏山口県立美術館で8年ぶりの全点公開による作 品を前にしてマチエール(絵肌)が迫ってきた。シベ リアシリーズ57点は抽象画である。絵の具の厚み、 物質感、筆遣いという絵肌(マチエール)は実作品で しか感じえないものである。◆香港社会を揺り動か している「逃亡犯条例」改正問題は2019年3月31日 の1万2千人の反対デモから始まった。9月4日に 香港政府が完全撤退を表明した。社会は変わる。政 治は変わる。翻って私たちの周辺に在日コリアン、 LGBT(性的少数者総称)、ホームレスなど少数者、見 解が異なる団体、企画展(「表現の不自由展」 8 月 3日)などに対して反日・出ていけ・止めろ・脅迫 が横行している。一方私とは関係がない、関係性を 持ちたくないという風潮が確かにある。排除、排斥 を看過する私がいる。そこには持続可能な未来を描 くことはできない。◆ぶれない軸というモチーフは 人間性を豊かにする。「世界は変わる。がしかし、 黙っていて変わるわけはない。『正しさ』はたいて い少数者、弱者の勇気あるチャレンジから始まる。 そしていつの時代も道を拓こうとする人の道は険し い。」

◆イエスの第一声「今この時は満ちている」(マルコ1 :15)は挑戦というよりもイエスの生き方そのものの 表出ではなかろうか。イエスの使命は神の国(支配)を 実現することであった。神の取り仕切りがあるという モチーフ(確信軸)によってユダヤ社会に対して異議申 し立てを行ったといえる。

 
 
 

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