「わたしは立ち上がりであり、命である」 金子政彦
立ち上がること、立ち直りのことを英語でResili
ence(レジリエンス)といいます。この言葉は、心理
学用語でもあり、「困難な状況にあっても心が折れ
ることなく、状況に合わせて柔軟に生きようとする
力」、「逆境や困難、強いストレスに直面した時のし
なやかな回復力」と解釈されます。失敗や挫折の経
験は、それに向き合うことで、困難があっても粘る
強さを育み、今あるものに感謝することにつながる
といわれます。
実のつかない花を「徒花(あだばな)」といいます。
園芸の世界では「桃、栗三年、柿八年」といわれま
す。日本料理には欠かせない「柚子」は十八年とも
いわれます。これは、昔から伝わっている言葉で、
種から育てた苗木が何年で実をつけるかについてい
われています。植物も、四季の変化を何年も受け止
めながら、最初は徒花であったとしても、それぞれ
に与えられた時間の中で、ゆっくりと、辛抱強く成
長し、実をつけるようになるのです。
私たちは、通常、過去を振り返りながら人生の良し
悪しを語ります。今いる場所からは、今、起こって
いることの本当のところの意味は理解できないもの
かもしれません。聖書は、今の時が、自分にとって
良くても、悪くても、イエスの約束を信頼するよう
に勧めます。
「わたしは立ち上がりであり、活き活きと人を生か
す力(命)である。私に信頼してあゆみを起こす人は、
たとえ死んでいても生きる。生きていて私に信頼し
てあゆみを起こす人は永遠に死ぬことはない。あな
たはこの事に信頼して歩んでいるのか。」(ヨハネ11
:25~26本田訳、一部改変)
「恵み」や「希望」は、聖書では「光」に形容され
ます。
「光は、私たちが神のことばを聴き、それに従うと
き、本当に私たちの生活に射し込んできます。」(カ
ール・バルト)
私たちは、その光が、どこから来るのかについて、
見誤らないようにする必要があります。私たちの経
験からでしょうか?努力からでしょうか?忍耐から
でしょうか?継続からでしょうか?才能からでしょ
うか?
「命の泉は、あなたにあり、あなたの光に、わたし
たちは光を見る。」(詩編36:10)
私たちは、聖書を通して、イエスの生き方とそのこと
ばに光を見い出します。私たちはその光に照らし出さ
れたものであり、その光の中で、立ち上がらせていた
だける。その約束の光の中で、たとえ無駄なように見
えても、失敗したように見えても、時間がかかっても、
いつでも、何度でも、挑戦することができます。それ
がイエスによるレジリエンス(柔軟性、立ち上がり)で
あり、今を活き活きと生きることにつながっていきま
す。
「本当のことは、『明かす』のではなく、『明かされる』
のです。」 (ユルゲン・モルトマン)
Comments