「主はおられる」 泉清隆
1975年に米国ワールド・ワイド映画社が製作した
映画「隠れ家(The Hiding Place)」のあらすじです。
時は1940年。それは戦争により人心破壊が欧州全
土にひろがっている頃であった。ベッツィー(J・
ハリス)の家は、オランダのハールレムにあり、そ
の家の戸は開かれたままになっていた。「私の主イ
エスは、訪ねてくるすべての人に愛を与えるため、
いつでも戸を開けておくようにいわれました」。典
型的なオランダの古老である父(A・オコーネル)
は、クリスチャンは言葉だけでなく、行動において
も人々の模範となるべきだと信じて、ベッツィーの
家にはユダヤ人の赤ん坊や避難民達が、隠れ家とし
て宿っていた。
だがある日、父やベッツィー、それにコーリー(J
・クリフト)達は、ついにゲシュタポにつかまって
しまう。そして独房に入れられ死んでいく父……。
またコーリーとベッツィーは、オランダの刑務所よ
り他の数百人の女囚と共に、非人間的行為のおこな
われているドイツのラベンズブルック刑務所に送り
こまれた。当初ベッツィーらの信仰を理解しなかっ
た人々も、情況が悪化してくると、2人を信じ、2
人は信仰をとく。そして、厳しい冬がやってき、ベ
ッツィーは衰弱していった。そんな彼女はやがて収
容所の病室に移され、間もなく永遠の家へと『釈放』
された(召された)……。女囚達はベッツィーがいな
くなると、コーリーから聖書の慰めを聞くようにな
る。「この朽ちるものは朽ちないものを着、この死ぬべきも
のは死なないものを必ず着ることになるからです。この朽
ちるものが朽ちないものを着、この死ぬべきものが死なな
いものを着るとき、次のように書かれている言葉が実現す
るのです。『死は勝利に吞み込まれた。』私の愛するきょう
だいたち、こういうわけですから、しっかり立って、動か
されることなく、いつも主の業に励みなさい。」(コリント
の信徒への手紙15章より)
コーリーが聖書よりこの命令を受けて間もなく、
点呼の時間に列の外に立たされることになり、周囲
の女囚達は次々と殺されていった。が、コーリーは
突然釈放された。
彼女は自由を獲得し、その自由と共に、今までの「隠
れ場」であった主のみこころに従う責任が生まれてき
た。彼女は(1983年4月15日、91歳の誕生日に天に召さ
れるまで)世界中の人々に、「どんな深い穴の中にもイ
エスさまがおられる」と伝えている。
(後に分かったこと、収容所に残された同年代の女性た
ちは、十日後に銃殺された。そしてコーリーが釈放さ
れたのは、ナチス側の全くの事務的な間違いであった
という。)
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