「共生」 泉清隆
朝日新聞4月16日の国際社説が目に留まりまし
た。題は「ヌートバーと『ニッポン』」。記者が今回
のWBCで、日本代表として活躍した選手のなかで、
特に日系大リーガー・ヌートバーのことが気になっ
たのは、走攻守そろったプレーに加え、開幕前に「侍
ジャパン」率いる栗山英樹監督の、ある記事を見た
からだということです。記事によると栗山さんは昨
年末の時点で、大リーグでプレーする日系選手の代
表入りを考えていた。その理由を「グローバル化す
る世の中で、そういう人たちが(仲間として)『普通
にいる』ということを、子どもたちに伝える責任が
ある」と話したというだった。栗山さんはまた、ロ
シアのウクライナ侵攻を引き合いに出し、「例えば、
外国の人が、当たり前のように友達にいれば(状況
は)違ったものになっていたかもしれない」とも語
っている。さらに続けて記者は、これと似た言い回
しが、野球とは無関係の、昨年11月に大阪地裁で
あった刑事裁判の記事にもあったと記憶をたどっ
た。それは、大阪のコリア国際学園は「越境人」の
育成を建学の精神とする学校で、多様な文化的背景
をもつ子が学んでいるが、ここに侵入して火を付け
たとされる被告に、同学園の金淳次(キムスンチャ)
理事長が法廷で、君付けで直接語りかけた。「もし、
○○君にも国籍や民族に関係なく、互いに名前で呼
び合うような友人がいれば、今回のような恐ろしい
事件を起こせただろうか」と。記者は、このような
ヘイトクライムが疑われる事件は後を絶たないと伝
え、どれもこれもニッポンが抱える現実であり、「共
生」への道を考えていきたいと結んでいました。
そのようなとき、スーダンの国の内戦のニュース
が飛び込んできました。以前紹介しましたが、川原
尚行さんが、スーダンで主に医療奉仕をされている
事を思い出しています。また、日本バプテスト連盟
のミッションボランティアとしてルワンダに派遣さ
れている佐々木和之さんが、「隣国コンゴ民主共和
国の東部で続いている紛争で50万人以上の避難民
の方々が故郷に帰還できるように」と祈りのリクエ
ストをされています。「共生」の道への一歩は、「と
もに痛みを覚えること」そして「祈る」ことから始
まるのだと思います。
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