「教えられる話し」 泉清隆
中東の昔話。昔、年老いたアラブ人が、自分の死
期をさとり、3人の息子を枕元に呼んで言った。
「私が死んだら、私のラクダの1/2は長男に、1/3は
次男に、そして1/9を三男にゆずる」。それから間も
なく父親は亡くなった。ところが父親の所有してい
たラクダは17頭だったので、1/2、1/3、1/9に分
けることができなかった。どのように分配するか、
3人の兄弟でとうとう言い争いが始まった。そこへ
一人の旅人がラクダに乗ってやってきた。旅人は兄
弟のケンカの理由を聞いて、「そうか、それなら私
のラクダを差し上げましょう。そうすれば分けるこ
とができるでしょう。」と言った。なるほど旅人の
ラクダを足すと18頭となり、長男は半分の9頭、
次男は1/3の6頭、三男は1/9の2頭をもらい、ケン
カは丸くおさまった。旅人は、「よしよし。では、
最後に残った一頭は、わしがもらって行こう。」と
自分の乗ってきたラクダに乗って、去っていったと
いう話だ。
計算が合わないはずのものが、一頭のラクダを加
えることによって計算のあう話になった。一頭のラ
クダを加えることによって、17頭のラクダを1/2
・1/3・1/9に分けることができ、さらに一頭余った
というのは、1/2・1/3・1/9を足すと、「17/18」と
なり分母を18にして、2でも3でも9でも割り切
れ、さらに1/18が余るということだ。
ところが息子達は割り切れない17という数に固
執し、ほかの兄弟が与えられた以上にラクダをもら
わないようにと、こだわったがために兄弟のケンカ
となったようだ。ラクダを切り裂くわけにもいかな
い。もし長男が1/2に少し足りない8頭で良しとし、
同じように次男は5頭、末っ子は1頭で良しとすれ
ば、残ったラクダは3頭になる。これを兄弟仲良く
一頭ずつ分けたら、長男は9頭、次男は6頭、三男
は2頭となり同じ結果となる。「こうあるべきだ」
と思いこんでしまうと、ほかの考え方ができなくな
ってしまって、無用の摩擦を生じさせることは多々
あることだと思う。
過去から現在までの国際間の争いごとは土地、そ
の資源などの取り合いのように思う。
以前、テレビ東京の放送「フィンランドに平和も
たらした日本人」で、新渡戸稲造がスウーデンとフ
ィンランドの国境紛争を収め、オーランド諸島を共
有化したということを知った。
(https://www.tv-tokyo.co.jp/zipangu)
(この情報は木村公一牧師から伺いました。)
なぜフィンランドが親日なのか。それは100年以上前
の出来事に関わりがあるという。フィンランドの歴史
に名を刻む日本人がいた。新渡戸稲造(旧五千円札の肖
像に使われた人物)だ。当時、国際連盟の事務次長だっ
た新渡戸は、フィンランドとスウェーデンの間で起こ
っていたオーランド諸島の領有権争いを、(後々まで「新
渡戸裁定」と呼ばれるようになった)画期的な方法で解
決したのだ。その解決法とは、なんと「オーランド諸
島は、フィンランドが統治するが、言葉や文化風習は
スウェーデン式」という意外なものだった。おかげで
オーランド諸島はいまや平和モデルの島となり、領有
権争いに悩む世界各国の視察団が来るまでになった。
住民はこう言う。「新渡戸さんをとても尊敬しているの。
だって、彼がこの島を平和にしてくれたのだから」。
現在のウクライナの平和の為にこのやり方は使えな
いでしょうか...。
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