「暗闇の先に」 内山賢次
学童クラブは今春で8年目を迎えますが、シフト
制の先生方に子どもの支援に関することとその周辺
の出来事に関心が注がれ自己研鑽に繋がっていくこ
とを願って、学童クラブの先生方に毎月レターを手
渡しています。2024年1月の睦月レターを転載しま
す。
東京、名古屋にお住まいの方からも揺れを体感したこと
を伺い、2024年元日の能登地震の規模は地震と呼べる
ものではなく震災ではないかと思います。☆この自然災害は
1995年1月17日早朝の神戸・淡路大震災と映像が重な
ります。崩壊した家屋の下敷きのままの肉親を助けることが
出来なかった現実に再び重く心に響いた方も多数おられる
でしょう。輪島朝市通りが神戸・長田区の火災と重なった方
もおられるでしょう。大人でさえ震災の出来事は脳裏から取
り去ることも消え去ることもできない今です。☆神戸・淡路大
震災の翌月11日から三日間地域の方々の支援を受け
て、豚汁セットとコンロを入れたリュックを背負い神戸で体感
した出来事は忘れることはできません。カメラを向けることを
躊躇うほどインフラは沈没。校庭、空き地、公園の各地で
は炊き出し。NTTが臨時設営した公衆電話には列が。校庭
の自衛隊設営風呂の管理とお弁当の手配をされる小学
校教師。☆その現場を見ていながらも父親を亡くしたであろ
う4年生くらいの子どもからの揚げバナナで腹を満たし、毎日
新聞社社屋で歯磨きをしていると蛇口を止められた僕自
身。水も食料も衣類も住まいもすべて共有財であったとはい
え、寒さに負けて、空き地の一角に提供されている衣類から
ベストを拝借した僕が居ました。帰路、JRから見た明石天文
台の大時計は止まっていました。☆17年後に訪れた神戸
港、長田界隈のインフラは立ち上がっていました。ドロソース
をかけたそばめしを食し、出合った鉄人28号は長田製の靴
は履いてはいませんが、モノづくりのまちと人々はいきいきで
した。☆今、“希望を”と能登方面に向かって叫び辛いです
が、出口は備えられている、そして暗闇の先にひかりは在る
と静かに伝えたい、語りたい衝動が起きています。希望は
私たちを欺くことはありません。希望は失望に終わることはあ
りませんと。☆ロシア・ウクライナ戦争、イスラエル軍とハマス
戦闘が継続真最中で、能登震災、羽田・日航機の炎
上、小倉・鳥町食堂街火災と立て続けのニュース映像で
心がすり減り、脳が疲弊しています。こうした地球疲弊の
下、現場の子どもたちとどう対面していけばよいのでしょうか。
☆子どもたちは怖い、安心の睡眠がとれない、攻撃的にな
るなど状況変化が起きていることを前提として、普通の会話
を続けることが大事だと考えています。
北陸の寒さの中で同じ小学生たちは頑張っているという類の能
登震災を理由とした言動は子どもの心にグサッと奥深く刺さりま
す。☆子どもの感性、心の変化はつかみにくく、入り込めない時
が多々あります。がしかし、暗闇のなかでしか見えないものがあ
る、聞こえない声には応えようと私たちが前を向く姿は今、必要
かもしれません。危機管理はハウツーの通底に在る希望と相
互信頼から始まっているのではないでしょうか。☆見えないもの
に耳目を注ぎ、見守るその先には子どもの心があることを確固と
して、希望の路を造っていきたいものです。
北九州祝町学童クラブ運営委員長内山賢次
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