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「神の国」 泉清隆

聖書教育の執筆を依頼されて、今、共同学習の大

人クラスと子どもクラスを書いています。その中の

一つの聖書箇所はマタイによる福音書20章の「ぶ

どう園の労働者」のたとえのところで「天の国(神

の国)」のたとえが書かれてあります。そこには多

く働いて者も少なく働いた者も全員が同じ労賃を戴

いたというものです。その労賃はその日を生きるこ

とかできる金額でした。

そこで思い出したのが、当時、神戸バプテスト教

会の加藤誠牧師のお連れ合いの加藤泉さんが、阪神

淡路大震災の後のフォーラムで発言された事でし

た。

「震災の当日の夜でした 朝6時前の暗い時に震

災が起こり 日が上り、あたりの明るさにほっとし

ておりましたが 夕方がやってきて、日が落ちで辺

りが暗くなってきました。電気のない夜は、都会で

は経験をしたことがありませんでした。あっという

間に夜の暗闇と余震を恐れる人たちで、教会の園庭

では焚き火を囲む円が大きくなってきました。前日

から野宿のため教会に泊まっていたおじさん そし

て、教会の隣に住んでいた社会的にも大きな責任を

負っている方、その2人が隣同士で…なんの垣根も

なく自分自身の命を前に平等なものとして、お互い

頼る存在として、自分の命と人の命に思い合いなが

ら会話をしていた様子を見て、神の国を見せられた

思いがいたしました」

社会的地位がどうであるか、どこに住んでいたか。

何をしていたか。人種が宗教がどうであるかは全く

問われない。大地震を経て、更に余震の中で、生か

されているお互いの命を喜ぶのが、神の国の一面だ

と思いました。


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