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「風と大地の営み」          内山賢次


「風と光のコントラバス」と銘打って長男和重のコントラバス独奏会の企画をし、市民センター六か所での演奏会(7月27日~31日)の終わりに短時間のスピーチをする機会がありました。コロナ危機下での演奏、コントラバス一台の60分間の独奏に興味と関心を持つコピーで夏の爽やかさを醸し出そうと、また音楽をはじめ芸術文化に飢えを地域の方々が感じておられると想像し「風と光」を面としました。コロナ感染防止生活から外の世界に少しだけ顔を出してみようかと思う心の騒ぎを起こしてみたかったからかも知れません。☆六会場は満席でした。名前も知らない演奏家に興味が起きたというよりも家から出かけ、寧ろ近くに足を延ばして気を晴らす好機の一つを見つけ出し、誰かに会ってお話もできるかと会場までお越しになったというのが正確かもしれません。☆そう想像するほど人は新しい人に関心を持ちそれを叶えたいという願望、欲望と言ってもいいかもしれないものが湧き上がったのでした。深読みしますと独りぽっちは寂しいという心の飢えがあったかと想像をします。☆人は音楽を聴くことも含めて映画・演劇を観る、絵画・建築に触れることで感性が蘇ってくることがあるのかもしれません。確かに会場では直に音が伝わります。音が曲となりその意図するものが心に共振したのかもしれません。会場で涙した方を見たときにそう感じました。音が風となったのかもしれません。☆風は光とは違い見えませんが感じることができます。木の葉の揺れその音から風の存在を知ることができます。その風が土を巻き上げ風と土が混ざり合います。風を人間の力で制御することは出来ません。風の根源を見ることができないからです。☆土は土地、土地は面となり地域、地域は生活の場、生活の場は共同社会となりムラとなります。そこに風が吹いてきます。風の力で土が混ざり合い、地域、生活の場がシャッフルされ新たな地面に立つ生活が生まれてきます。生活の中には見ることのできない風があり風が起こされます。その風と土の交流を“風土”と言いそれは地域社会に文化を生み出す源です。

☆人間の力によって地面に鍬が打ち込まれます。鋤によって地面が盛り上がり畝が作られ酸素が吹き込まれます。そして再び風が吹き新たな土が生まれます。こうして何年も何百年も何千年も耕され続けてきています。人はそのことを文化が生まれると言います。☆夜となり朝がやって来ます。朝の光が風を通して土に射してきます。この循環が人間の歴史となります。私たちは見えない風の恵みの中でイエスの足跡を辿る一人となり強風、横風、逆風がやってくることも想定して上質な土づくりに汗を流しています。土に育まれ、土を耕していきたいものです。泉清隆牧師を招聘して五年目の歩みのコロナ危機下の今、爽やかで柔らかい風を望み、土から成長する一粒の実を大地の営みを共に大切にしていきたいと祈ります。

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