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『わたしに届いた手紙』  金子政彦

手紙とは、用事などを書いて人に送る文書のことです。広義には、封書に加えて、はがきを含みますが、一般的には、封書のみを指して手紙といいます。特定の相手に届けるのが手紙です。不特定多数に見せたり渡したりするものはチラシと呼び、区別されます。

 手紙を英語で表記するとLetterとなります。Letterの語源は、文字、書かれた文字であり、そこから手紙の意味で用いられるようになりました。紀元前数千年の時代から、手紙のやりとりは行われていたといいます。古代メソポタミアの手紙では、粘土版に楔形文字で書かれていました。古代エジプトの手紙は、パピルスに、葦の茎や鳥の羽根で作ったペンで書かれていました。古代ローマ帝国では、植民地と植民地の間の連絡のために、行政制度と軍事制度のかなめとして、郵便配達制度が発達し、手紙が頻繁にやりとりされるようになりました。古代ローマの手紙は、後世の文章の文体を育む役割を果たしたといわれます。たとえば、ローマ公用手紙の文体は、使徒パウロの書簡でも用いられ、その文体が、ローマ教皇の司教通達などにも受け継がれていくことになりました。日本でも、古くから、木簡が文字による通信伝達の手段として用いられました。平安時代には、女性たちが、ひらがなを駆使して平安文学を記しました。その多くが恋文(ラブレター)をモチーフにしています。人間は、言葉でのコミュニケーションだけでなく、古くから、文字を使ったコミュニケーションを行っていたことが分かります。

 想いの込められた手紙は、単なる文字の羅列ではありません。私たちに強い影響を与えます。私たちの心を震わせ、勇気づけたり、再び立ち上がらせたりします。

 聖書は、現代日本においては、関心があれば誰でも読めます。不特定多数の人の目に留まる点では、チラシの要素があるかもしれません。しかし、聖書は、一人ひとりが主体的にその内容に触れたとき、決まりきった単なる文字の羅列ではなくなり、私たちのそれぞれの人生に強い影響を与えることばとなります。

聖書を、神さまからのラブレターのように読みなさいといった人がいます。聖書は、私たち一人ひとりへの、神さまからの封書の手紙とも言えるかもしれません。読み方は私に委ねられています。封書の中身は、イエスさまからの私自身へのメッセージです

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