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アブラハムの出来事 泉清隆

創世記は大きく分けて、前半の1章~11章の「世

界の起源」とそして後半12章~50章までの「族長物

語」と言われるイスラエル・ヘブル民族のルーツ父

祖に分けられます。このアブラハムの誕生は紀元前

2000年前後、考古学的年代では中期青銅器時代、エ

ジプト王国が紀元前3000年に第一王国から数えて第

8王国の時代になります。バベルの塔の原型ではな

いかと言われる「ジグラット」もこのアブラハムの

故郷のウルにもあったとされています。

ある時、アブラハムとサラという遊牧のセム人が、

北メソポタミアのハランを去って、パレスチナに行

ったという一見ごく平凡な出来事なのですが、ユダ

ヤ教徒もキリスト教徒も、そしてイスラム教徒にと

ってもこれが全人類の、創造された全宇宙に関わる

瞬間を記していることになります。なぜなら神がそ

の背後におられたからです。ユダヤ教徒、キリスト

教徒、そしてイスラム教徒ともこの神の呼びかけに

よって、神のための特別な民を形造ることになりま

した。

もし、アブラハムがあの呼びかけに答えていなか

ったなら、イスラエルはその約束の地に到達せず、

そして私たちの愛する教会も存在せず、私たちが学

んだり註解したりする聖書もなく、私たちの人生は

虚しいものになっていたでしょう。

ですからこの事に対する私たちの反応は驚きで

す。日本の地からすると遠い世界の出来事ですが、

神の世界の物語の始まりです。

ユダヤ教、キリスト教、イスラム教は本来は同一

の神を信じている者たちです。イスラム教ではユダ

ヤ教徒とキリスト教徒は「啓典の民」(アフル・ア

ルキターブ)として異教徒とは見なさず、保護の対

象とされています。

先日の中村哲さんの三無主義の話の中で、イスラ

ム教徒の方が中村哲さんを信仰あるものとして敬意

を払っていました。

信仰の違いではなく、政治的な違いから対立があ

る事は悲しいことです。

お互いに尊敬し合うことから始まると思います。

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