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絵本『戦争をやめた人たち』作者 鈴木まもるさんについて 泉清隆

作者の鈴木まもるさんは「人と戦争」をテーマに

した絵本を描きたいと思っていたのですが、過去に

戦争を経験された方がその悲惨な体験を書かれたも

のがほとんどでした。それを語り継いでいくことは

大切なことですが、自分は戦後生まれで実際に体験

していないので描けないと思いました。「平和は大

切、戦争反対」という絵本もあります。鈴木さんは、

戦争の悲惨さを生々しく描写するのではなく、なに

か絵本らしい別の切り口で子どもたちの心に「人と

戦争」を伝えたいといろいろ模索していたときに、

第一次世界大戦の時に起こった「クリスマス休戦」

という史実を知りました。戦争になっても人の心の

持つ優しさ、いとおしさを感じ、「伝えたいのはこ

れだ!」と思いました。あっという間に1冊の絵本

としての全体の構成などが頭の中に出来上がり、今

年の2月3日から絵を描き始めました。人のぬくも

りを出したいということで色鉛筆という素朴な画材

を選びました。絵の明確なイメージができていたの

で、あっという間に完成に近づいた2月25日、最

後の「あとがき」の部分の絵を描いているとき...な

んとロシアがウクライナに侵攻を始めたことを知り

ました。まさか今の世の中でまた戦争がはじまると

は思っていませんでした。100年前と今とでは兵器

が違うので被害は甚大で日に日に悲惨な状況になる

現実に愕然となりました。しかし、使われる兵器は

違っても、やっている人間の行為は同じだと思いま

した。そうであるならば、この絵本で伝えたいこと

は間違っていないし、戦争をやめるための答えも同

じのはずです。それを「今」表現することが大事だ

と思いさらに絵を描き続けました。描きはじめた当

初は、戦争なんて遠い過去のことだから、最後は自

然環境や隣人への思いやりといった言葉で終わろう

と思っていたのですが、実際に戦争が起きてしまっ

たので、最後の言葉を書き替えました。

鈴木さんは、「戦争をはじめるのも人ですが、戦

争をやめられるのも人です。国や宗教、言葉を越え

て相手を思う想像力と、音楽やスポーツ、芸術活動

(もちろん絵本も!)など、その人なりに自分らしく

生きるという創造力、それらを行動で表す勇気が戦

争をやめる力を生みだすのだと信じています」と締

め括られていました。(以上引用編集しました)

ロシア・ウクライナの戦争はなかなか終わりません。

ロシアは「クリスマスは休戦しない」と言いました。「ク

リスマス休戦」について調べていてこの絵本のことを

知りました。そしてイエス・キリストの誕生であるク

リスマスがもたらす平和を思いました。相手を思う想

像力を私たちは信仰をもって豊かなものとしたいもの

です。ロシア、ウクライナ双方に、イエス・キリスト

を信じる人たちが多くいるのですから。

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