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《覚悟の問い~寄り添う》 内山賢次

「少年の更生は愛をもって実務に携わる」家庭裁

判所の草創期に深く関わった判事のポリシーのこと

ばですが、この『愛の内実』は何でしょうか。人間

を大事にする行為が愛と呼べるのではないか、そし

て大事にすることは心底から寄り添うことだと数年

前のCMから気づかされました。☆アリさんマークの

引っ越しCMを思い起こします。“僕が運びましょ”

と声をかけると“私は重いんですよ”の反応に、“

お任せください”としゃがみ込むと“優しいね”と

素直に彼の背中に乗るという赤井英和がおばあさん

をおんぶして階段を昇るCMです。このCMを初めて見

た時はいったい何のCMかといぶかしげに思いまし

た。☆荷物を小脇に抱えたおばあさんに赤井英和は

見て、近寄り、声をかけて、おんぶし歩道橋を昇っ

ていく、シンプルなCMです。☆引っ越しは荷物の運

搬ではなく生活の移動と捉えると語っています。人

間を真ん中に置き人間を大事にしている企業だと推

し量ります。人間の内面、心の働きが大事であり、

畢竟(ひっきょう)それは人間が人間に寄り添うと言

う旗を掲げています。この企業のミッションはこの

おばあさんを象徴に“社会的弱者の立場に立つ”と

いう意思を感じます。☆荷物を持って階段の前で逡

巡している人を横目で通り過ごす私たちの日常風景

がありますが、気負いもなくごく自然に人間が人間

に寄り添う姿を思い起こすたびに好感を抱いていま

す。☆人間は人間として人間らしく尊厳を持って生

活をしています。少なくともその社会を目指してい

ます。弱者も貧富も性差も子ども大人も民族、人種

の違いも超越して人間として生きることがすべての

人間に保障されています。☆イエスの時代はその現

実から大きくかけ離れている社会でした。イエスは

想像力を培って彼(女)の心の中に分け入っていま

す。苦悩、憐憫を想像して彼(女)の立場に立ってい

ます。そして、彼は何を求めているのか、「良くな

りたいか」(ヨハネ5:6)とズバリの問いかけは、相

手に考えさせる問いです。じっと待ち、そのあやふ

やな答えを尊重し、否定を決してしない。まるごと

受け留める覚悟の問いです。寄り添い、大事にする

行為に条件はありません。

☆祈りとなり願いとなり、双方に行動、行為と変容が

伴うその行動が寄り添うと言う事です。その時の言葉

は磨かれた言葉が必要です。いざの時の言葉を磨いて

いくには日常の鍛錬、訓練が必要です。☆あの時の先

生の一言に勇気づけられた、あの小説、あの一節を読

み、聴き、開けたと学生時代を振り返ることも多いで

しょう。隣人へ語る言葉を磨き続け、より良い明日を

見据えていけるように聖書を学び、併行して“良書”

と音楽、演劇などに向き合い、聖書は私に何を語りか

けているのか、律してその問いに応えていきたいもの

です。

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